さて今回は前回からの続きでマグネット反応の話です。
マグネット反応とは生理学者が頭部を切断された実験動物の足裏をある方向に圧迫し、手を離したところまるで磁石のように実験者の手に引き寄せられたところから『マグネット反応』と呼ばれるようになったのです。

 例えば足の裏の外側を指で頭の方向へ押してゆくと、その圧迫を押し戻す方向へ足が動くことでバランスを取るのです。
特に二足動物ではバランスを取るためにこの反応がより増幅される結果となるのです。

 身体が直立位(真直ぐ立つ姿勢)から左へ傾いたケースを考えます。
真直ぐ立つ姿勢で両踵のくっつく点~股間~へそ~鼻~頭頂までを結ぶ線を正中線といいます。
身体全体が左に傾くと左の股関節は正中線から外へスライドすることになります。
右の股関節正中線に向けて内へスライドすることになります。
左の足関節は正中線から外へ傾き、右の足関節は正中線から内へ傾くことになります。

 この身体の傾きは筋、関節、皮膚受容器に対する刺激となり、姿勢を戻すため(倒れないため)以下のような反応を起こします。
左の足関節は外へ倒れているのを正中線へ戻すための筋肉が働く。(左足の内反筋群の促進)
右の足関節は内へ倒れているのを正中線へ戻すための筋肉が働く。(右足の腓骨筋群の促進)
左の股関節は外へスライドしているのを正中線へ戻すための筋肉が働く。(左中殿筋と大腿筋膜張筋)
右の股関節は内へスライドしているのを正中線へ戻すための筋肉が働く。(右内転筋群)
このような筋肉群が活動し傾きを正常な位置へ戻す働きがあるのです。

 冒頭の話に戻ります。
実験動物は頭部を切除されていたことからもわかる通り、この反応は無意識に働くものなのです。
さて次回は本題のハイヒールについての話です。