前々回は5cmのヒールを履いた際、マネキンの様な生き物でない場合頭部が約35cm前方へ移動するということでした。そして、前回は身体が傾いたとき動物にはマグネット反応というものがあり、傾きを元に戻してゆくメカニズムがあるということでした。

 この反応はくどいようですが無意識に働くものなのです。
ということは身体の傾きを戻すために今この筋肉が頑張ってくれているんだな~とは意識されない→ついついいつも同じ筋肉を酷使する可能性があると言えます。

 さて、前回と前々回の話から5cmのヒールのある靴を履いていると、頭を35cm後方に引き続けるための力が働くことになります。
どこで働くのでしょうか?
一番がんばって働くと思われるのが足の関節(爪先立ちのような状態)、膝の関節(軽く膝を曲げた状態)股関節(骨盤を前傾させる)等です。

 ただし、直立の姿勢から頭を(身体全体を)後ろに反らせるときの状態を思い浮かべて欲しいのですが、上半身も身体を反らせるのに関与しています。
特に腰と首は背骨のS字カーブで前に反っていますから、そのカーブは強まります。
ヒールのある靴を履いていることは常に足の関節を爪先立ちのような状態にし、腰と首のカーブを強めた姿勢を取り続けることになるのです。

 ここ鎌倉から東京へ通勤されている方もかなり多いようです。
横須賀線を使って約1時間。その間ラッシュで立ちっ放しということになると、1時間上記のような負担を身体に与え続けることになります。
往復なら2時間。週5日勤務なら合計10時間。
背骨のS字カーブが強いタイプの方なら腰に負担がかかり腰痛の原因になる可能性もあります。

 また、常に爪先立ちの姿勢を取るということはふくらはぎの筋肉を短縮させることになり、血行を悪くし足先の冷えの原因にもなるでしょう。
スタイル良く見えるメリットもあるのですがこういった身体に対するデメリットも考えられるのです。

 でも仕事の性質上どうしても履かなければいけない!という方もいると思います。
そういった方には1日の終わりに脚の裏側を伸ばすストレッチをやっていただきたいと思います。
両足を前に投げ出して座り身体を前屈させて両手で爪先をつかむ、例のアレで十分です。

 でも一番いいのはヒールは低めの靴を選ぶ事だと思います。
したがって、アロハカイロ&フットパラダイスでは特別の事情がない限りオーダーシューズではヒールを3.5cmまでとさせていただいてます。
履き心地と同時に身体全体のことを考えての判断なのです。