昨年の2009年5月のゴールデンウィークの頃いかに「新型インフルエンザ」に対する反応がすごかったかという話が続きます。

 海外で観光をしていた人が大挙して帰ってくるのが、ゴールデンウィークの終わりの頃と言うことで、成田空港で例の水際作戦と言うのが実施されました。
空港でサーモグラフなどを使い、疑わしい人は体温を計り、37℃を超えるその人のみならず半径5メートル(だったかな?)以内に座っていた人も併せて施設に「隔離」され、キットで「新型インフルエンザ」陽性か陰性かの結果を待つ、というものでした。

 自宅でテレビを見ていると、字幕のテロップで速報が流れ-成田空港で30歳代女性が「新型インフルエンザ」の疑いで検査中-などの報道がされていました。
その後、この女性は陰性だったと記憶しています。

 私が意外だったのは-なぜインフルエンザごときで、公権力が人を隔離できるのだろう?-ということです。
ここアロハカイロ&フットパラダイスには国際的に活躍をされている弁護士の先生が定期的にご来院されてます。
そこで、その弁護士の先生に先ほどの疑問をぶつけると、帰ってきた回答は

-鳥インフルエンザが人に感染してパンデミックを引き起こすのを想定してつい最近(といっても10年ほど前ですが)伝染病予防法が改正され、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」となり新型インフルエンザも対象の疾患に入れられた-
とのことでした。

なるほど、一斉に「豚インフルエンザ」が「新型インフルエンザ」へと呼び名が切り替えられたはずです。

 その後の経過はご存知の通り、東京の女子高生達ががニューヨークからの帰りに感染し、校長先生が記者会見で涙ながらのお詫びをしたり、(そんな必要なかったと思うのですが)神戸でやはり高校生が集団感染すれば、関西方面への修学旅行や一般の旅行も自粛されたり、ヒステリックな反応が全国を覆ったわけです。

 そんなヒステリックな反応にひどい目にあった方がこちらにご来院の方で3家族ほどいらっしゃいます。
1家族目はあんまりにも報道がすさまじいので楽しみにしていた夫婦でのパリ旅行を取りやめたそうです。

2家族目は家族でイギリス旅行を計画していたのですが、ご主人の会社内の空気が戦時中のような雰囲気になり、しぶしぶ旅行をキャンセルしたそうです。
(戦時中のような雰囲気ということはこんな時期に海外に遊びに行って感染して帰ってきて社内にばら撒いたらどうするんだ!この非国民!!ぐらいの雰囲気なのでしょう)

3家族目は夫婦で韓国のチェジュ島へ観光で行ったらしいのですが、空港で一人ずつ体温検査があったそうです。
耳に挿してすぐに体温が測れる体温計で。
その女性の順番が来たときに係官が右耳で体温を測る。
ピーと異常音がする。
耳で測る体温計は誤差が大きいので別の耳で測りましょう、という事で係官はこういう時移動はしないので、その女性が回れ右をして後ろに向くと彼女の後ろで検査を待ってい並んでいる人たち皆がすさまじい形相でこちらを見ていたそうです。
(せっかく観光で来たのにここでお前が陽性ならわれわれも一緒に隔離されるじゃないか!!!という事なのでしょう)
結局、別の耳で測った結果陰性で事なきを得たそうですが、あんなに怖い思いをしたのは久しぶりだとおっしゃっていました。

 さぁ、そういう世間の状況であなたはメキシコへ観光に行けるでしょうか?
小心者の私はとてもとても・・・(つづく)