上のタイトルの実験を先日テレビで見ました。
番組はNHKの情報番組「ためしてガッテン!」

 かゆみ研究の第1人者の先生が世界で初めて開発した「かゆみ発生装置」で人為的にかゆみを発生させて、一瞬でそのかゆみを消してみせるというものです。
実験は椅子に座った被験者(その番組ではびびる大木さんでした)の右手に心電図を測るときのようなパッチを当てて、かゆみを発生させる。
その時、左手に「ある物」を握らせてかゆみを消すという方法でした。
「ある物」とは冷たく冷やした保冷剤。

 理屈はこうです。
脳は一度にたくさんの感覚情報を処理できない。
したがって、皮膚(体表)に「かゆい」という感覚を上回る「冷たい」という感覚が加わると、そちらの情報しか意識できず、「かゆい」という感覚は意識に上らない。
(正確には意識が薄くなるのでしょう)

脳の感覚に対する優先順位は
1位 痛い
2位 熱い
3位 冷たい
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ずっと下位にきて
7位 かゆい
だそうです。
これも生体の防御からいって順位の高い感覚のほうが身体にとって危険度が高い情報なのでなるほどと納得させられます。

 さて、臨床でよく遭遇するのですが、同じ「痛い」という情報でも同じことが当てはまりそうです。
例えば、常日頃肩が慢性的に凝っていて「痛い」
そこに、ある時ギクッとやってしまっていわゆるギックリ腰の猛烈な「痛い」
がやってくる。

 ギックリ腰で初診で来られた患者さんの肩を触ってみるとかなり凝ってる
「肩こりはどうですか?」
「普段はそちらの方が気になるんですが、今は腰が痛くて、痛くて、それどころじゃありません」

 そういう時に私はあらかじめこういうことを言うときがあります。
「何回か施術して、腰が何の問題もなくなってくると、また、肩こりを意識するようになると思いますよ」

 そうすると、寝返りするのも辛かった患者さんが、それも全く問題なく動けるような状態になってくると
「あの時、先生がおっしゃってたことが予言のようになって、今度は以前のようにまた肩こりを意識するようになりました」

 これは先程の脳の感覚の優先順位と同じ仕組みだと思うのです。
同じ「痛い」という情報でもより生体にとって危険度の高い感覚のほうが優先される。

 人間何十年と生きてきてるとアチコチが痛くなる。
その「アッチ」が意識されて「辛い」と思い治療院の門を叩くわけですが、「コッチ」は意識されていないわけです。

 したがって、初めてアロハカイロ&フットパラダイスでカイロプラクティックを受けられた方には先程のように
「1番手」が楽になったら「2番手」が意識されるようになる方もいらっしゃいますよ~
というような説明を必ずするように心がけています。
常日頃から私が言ってることなのですが、身体の修理というものは簡単な構造の機械修理のように単純明快にはいかないものなのです。