花粉症はアレルギーの1つ

もはや国民病と言っていい「花粉症」
ご存知の通り花粉症はアレルギーの代表的疾患です。
これから免疫学の見地から花粉症について考えていきます。
結論から言うと、運動不足や過食などで、副交感神経優位の体内環境になると、リンパ球が増加します。
外から異物が入ると排除しようとするリンパ球の働きが過剰になり、通常なら反応しないような花粉やダニなどを攻撃します。その結果、くしゃみや鼻水などの症状が現れるのが花粉症です。

マスク、メガネ、ティッシュ

身体の状態を一定に保つ仕組み

  • 自律神経・・・痛みや苦み、熱などの外部からの刺激を受けると、それに対応するための指令をだす。
  • 免疫系・・・体内の異常をキャッチし、異物を攻撃して排除することで、身を守る。
  • 内分泌系・・・さまざまな種類のホルモンを分泌して、臓器の機能を保ったり調整したりする。
―安保徹著 図解 免疫の仕組みより

人間の体内にある、水分の量や体温、血液中のブドウ糖の量など様々な状態を安定した状態に保つことを、恒常性(ホメオスターシス)といいます。
例えば、外気温が高くなっても体温が一定以上上がらないのは、発汗作用で体温を下げるよう自律神経が調整しています。

内分泌系の甲状腺ホルモンは代謝を盛んにする作用があります。そのため、身体が必要とする酸素量が増えます。

全身に酸素がたくさん行くようにするため、自律神経と連動して心拍数が増え、心拍出量が増加します。
このように、自律神経と免疫系、内分泌系は連動しながら身体の状態を一定に保っているのです。

免疫のしくみ

体内の異常をキャッチし、異物を攻撃して排除することで、身を守ります。
その免疫担当細胞が白血球。
各細胞の比率は顆粒球約60%、リンパ球約35%、単球5%未満です。
顆粒球は、体内に侵入した細菌や死んだ細胞などを食べて分解し、身体を守っています。

抗原抗体反応

リンパ球で作られた抗体の役割は、異物(抗原)と結合することによって抗原の毒性を弱めて、生体の防御にあたります。(抗原抗体反応)
一度作られた抗体はその後も体内の情報に残され続けます。
よって、一度罹った「おたふくかぜ」や「水ぼうそう」に二度と掛からないのはこの仕組みによるものです。
これを「二度かかりなし」といいます。

アレルギーとは

外から異物が入ると排除しようとするリンパ球の働きが過剰反応している状態です。

そもそもアレルギーを発症する人としない人がいるのはなぜ?

風邪が蔓延している教室で、風邪がうつる人間とうつらない人間がいるのと同じように、リンパ球の免疫が過剰に反応する人と過剰に反応しない人がいる。
後述しますが、リンパ球比率がそのカギとなります。

安保徹先生の免疫理論

自律神経と白血球の関連性から病気の成り立ちや健康法を数多く著作、講演されている、その中心的理論です。
今回は世界的な免疫学者 安保徹先生の最初の代表著書

「未来免疫学」―インターメディカル から引用しながらご紹介します。

未来免疫学

自律神経

自律神経は内臓の働きを調整している神経です。
「自律神経」という意味は運動神経とは違い意志の働きとは独立しているということです。

交感神経と副交感神経があり、シーソーのようにその働きが正反対の関係にあります。

交感神経は、からだを活動に適した状態に調整します。
心臓の働きを高め、血管を収縮させ、血圧を上げて、全身にたくさんの血液を送ります。胃を弛緩させたり、胃酸の分泌を少なくして、胃の消化活動で使われる血液を減らして、筋肉に送る血液量を増やそうとするのです。

副交感神経は、これとまったく反対にからだを休息に適した状態に調整します。
心臓の働きをゆるやかにし、血管を拡張させ、血圧を下げることになります。

食べ物を消化、吸収、排泄しているときも、副交感神経が働いています。
交感神経はからだを緊張状態にし、副交感神経はその緊張を解いて、からだを休息させることになります。
これがシーソーの関係と言われるゆえんです。

東北大学医学部斉藤先生の生物学的二進法

安保徹先生の免疫理論の大本となった東北大学医学部斉藤先生の生物学的二進法です。
5千人の患者を対象にあらゆる感染症を調べ、どの種類の細菌に感染した時に、白血球のうちのどちらの細胞が増えるか調べました。

ブドウ球菌や連鎖球菌のような粒子の大きい菌に感染すると白血球のうち、これらの異物を食べて退治する食細胞系の顆粒球やマクロファージが増加します。

逆にウィルスや異種蛋白など、粒子の小さいものがからだに侵入すると、白血球内のリンパ球の数がぐんと増えたのです。

この時脈拍と胃酸の分泌から自律神経との関係も調べました。

食細胞系の顆粒球やマクロファージが働いている時は、交感神経が活性化されています。
リンパ球が働いている時は、副交感神経が活性化されています。

交感神経と顆粒球

交感神経は優位な時、交感神経が優位な人(交感神経優位の顆粒球タイプの人は後述)は顆粒球が増加の傾向にあります。

肉食動物のエサ取り行動

シマウマとライオン

例えとして肉食動物のエサ取り行動から説明します。

エサ取り行動のためには肉食動物の身体は前述の交感神経が、からだを活動に適した状態に調整します。
心臓の働きを高め、血管を収縮させ、血圧を上げて、全身にたくさんの血液を送ります。
胃を弛緩させたり、胃酸の分泌を少なくして、胃の消化活動で使われる血液を減らして、筋肉に送る血液量を増やそうとするのです。

このことによりエサである草食動物を捕獲することができるのです。

走るライオン

エサ取り行動で草原を走るとき、灌木で皮膚を傷つけることもあるでしょう。

この時は交感神経が優位で顆粒球が活性化しています。
その傷口から上述のブドウ球菌や連鎖球菌のような粒子の大きい菌が体内に侵入してきた時は食細胞系の顆粒球やマクロファージが働いてこれを退治します。その残骸が膿なのです。

からだがエサ取り行動で活動的な時は、傷を負うリスクが高い、そういう時に傷口に対応しやすい顆粒球が交感神経優位の状態で活性化する―進化の過程で得た合理的な免疫の仕組みだといえそうです。

副交感神経とリンパ球

副交感神経は優位な時、副交感神経が優位な人(副交感神経優位のリンパ球タイプの人は後述)はリンパ球が増加の傾向にある

肉食動物の消化・吸収・排泄行動

先程の例えの続きからエサ取り行動で肉食動物がエサである草食動物を捕食するとき、副交感神経が優位になり交感神経優位時に胃を弛緩させたり、胃酸の分泌を少なくして、胃の消化活動で使われる血液を減らして、筋肉に送る血液量を増やそうとしていたのが、今度は逆に胃酸の分泌を増やし胃の消化活動で使われる血液料が増え、消化、吸収、排泄が促されます。

エサを食べるライオン

エサ取り行動によって捕食すると、消化>吸収>排泄されます。
この時、からだは副交感神経優位になっていますので、リンパ球が増加しています。
この吸収の過程で上述した異種蛋白(昔、BSE騒ぎでプリオンが注目されましたね)などの粒子の小さいものが腸管から体内に侵入するとリンパ球がこれを退治します。

リンパ球が体内で多く配置している場所の1つが腸管です。

もう1つ多く配置されている場所は粒子の小さいウィルスがからだに侵入しやすい鼻粘膜です。
(花粉症で鼻粘膜が過剰に反応するのは、小さな粒子の侵入に備えるリンパ球が多数配置されているからなんですね)
こちらの免疫の仕組みも捕食によって副交感神経が優位になり、リンパ球が増加し、侵入のリスクの高い場所に数多く配置されているという、合理的な仕組みといえます。

ちなみに、強いストレスにさらされている現状から逃れるために、無理に食事の回数を増やしたり、食事量を増やしたりして副交感神経を優位にして精神を落ち着かせようとする「ストレス太り」は無意識にこの仕組みを利用しているからなんです。

自律神経のリズム

シーソーの関係にある交感神経と副交感神経は一定のリズムがあります。

24時間周期

日中は交感神経が優位です。(交感神経は活動的なからだのための神経だからです)
夜間は副交感神経が優位です。(副交感神経は消化、吸収、休息の状態にからだをもっていく神経だからです)

365日周期

気圧と自律神経も関連があります。
高気圧とは空気量が多いことです。
ということは酸素が多いということです。

人間が沢山の酸素を取り入れると交感神経が緊張し活動的になります。

低気圧はその逆。

われわれのからだは、気温が高く低気圧の夏はゆったり型の副交感神経優位、寒くて気圧の高い冬は基礎代謝を上昇させようとして交感神経優位になる傾向がある。

春先は交感→副交感

交感神経優位の冬から副交感神経優位の夏へスイッチが切り替わるのが春です。
副交感神経が一番引く時期の冬から右肩上がりに上昇している時期で、リンパ球の数も上昇傾向にあると考えられます。
だから、リンパ球が過剰に反応しやすい時期と考えられます。
自律神経の年内リズム

交感神経優位の顆粒球タイプの人と副交感神経優位のリンパ球タイプの人

上記「免疫のしくみ」で顆粒球約60%、リンパ球約35%、単球5%未満と説明しています。
安保徹先生によると、

  • 顆粒球タイプの人は顆粒球比率が70%前後。
  • リンパ球タイプの人はリンパ球比率が40%前後。

交感神経優位の顆粒球タイプの人の特徴

肉体的特徴は、やせ型、筋肉質で皮膚は浅黒い。性格あるいは行動パターンは、男ぽっく攻撃的、意志が強く集中力が高い、短期決戦型の働き者が多い。

副交感神経優位のリンパ球タイプの人の特徴

ふくよかな体型の人や女性に多く、皮膚はみずみずしく色白で、目の形はつぶらで丸い。ゆったりとした性格で、感受性が強いが、視野が広く、持続性がある。

同じ人であっても時代や生活環境で自律神経のバランスは変動する

誰の中でもこの2通りの要素がいくぶんかずつ共存しています。
急激なストレスを受けると顆粒球比率が高まって、やや顆粒球タイプの人になるし、温暖低気圧の土地に行くとリンパ球比率が高まって、リンパ球タイプの人の傾向が強くなったりします。

昭和40年代以前の子供は青っ洟(あおっぱな)

戦後から昭和40年代前半くらいまでは子供の青っ洟はよく見られました。
これは飢えと貧困により子供であるのに交感神経優位の顆粒球が多いタイプだったからです。
(概ね15歳ぐらいまでは副交感神経が優位な時期と言われています)
副鼻腔内の常在菌を顆粒球が退治すると、顆粒球と菌の死骸が膿となります。
これが青っ洟の正体です。

今でもアフリカなどの発展途上国で貧困と飢えが蔓延している地域では多く見られれます。

アフリカの子供

暖衣飽食と清潔志向がリンパ球過剰の状態を作る

現在の日本は暖衣飽食の時代で、加えて世界に類を見ないほどの清潔志向です。
私が初めて花粉症という言葉を鮮烈に記憶しているのは1995年上野公園の花見の時でした。
当時、私が営業職では1番下っ端だったので、取引先とのお花見に場所取りをしなければなりませんでした。

しかし、当日は39度を超す熱風邪で、場所取りを先輩に代わってもらいました。

不幸にもこの先輩が花粉症で、場所取りがずいぶんつらかったそうです。
その時、先輩は10年以上今の症状に悩まされてきたが何の病気かわからず、つい最近になってこの症状名が「花粉症」だと知った、と言っていました。

90年代半ばより少し前の時代の代表的清潔志向とは80年代後半バブル期の「朝シャン」と90年代初頭の「抗菌グッズ」の普及でしょう。

過度な除菌が顆粒球の活躍の場を失わせ、顆粒球比率を下げさせます。
現代の生活スタイルはリンパ球比率が高まる、リンパ球タイプの人が多いと言えます。

白血球比率から見たアレルギー

引き続き重要な個所の引用です。

リンパ球は、自分以外のものを抗原と認識し、抗体を作ってからだを守る。
この免疫機構が外界の異物と戦ってくれてるうちはいいのだが、働きが過剰になると、往々にして自分のからだそのものに対して好戦的になる。
現代の日本に多い子供のアトピー性皮膚炎や気管支喘息、さらにおとなの花粉症は、ほかに引き金となる原因も加わるが、白血球に関しては、リンパ球過剰によるものだと断言できる。

安保徹先生は花粉症は白血球に関しては、リンパ球過剰によるものだと断言できる。と言い切っています。

花粉症対策

ここまで長々と説明してきたのは、アレルギー症はリンパ球過剰によるものであれば、顆粒球を増やし、やや交感神経優位の状態にからだをもっていけば良いというのがお分かりでしょうか?
安保徹先生の推奨は

  • 食事量を減らし、運動量を増やし、日々きびきびした動きを努力すること。
  • 子どもであれば、日中は太陽の下で泥んこ遊びをすること。
  • 大人であれば、皮膚刺激としての乾布摩擦をすること。

です。

乾布摩擦

私は花粉症を発症して以来、13年間毎年花粉飛散の時期には乾布摩擦を実施しています。

効果を実感できるから13年も続いているのです。

用意するものは使い古したゴワゴワのタオル。(抵抗感があるほど良いので柔軟剤で洗ったりしないで下さい)
実施の時間帯は朝パジャマから服に着替える時が良いでしょう。(習慣化することが重要です)
腕、脚の内側は体幹から末梢に向かって、外側は末梢から体幹に向かって10秒ほどこすります。
お腹は時計回りに10秒ほどこすります。
背中はお風呂でゴシゴシやる要領で。
全部やっても3分ほどの時間です。

ちなみに無料です。(笑)

あなたは毎年花粉症対策にいくら使っていますか?

この対策で軽くなった~と実感できる秘訣は「継続すること」

私がアロハカイロ&フットパラダイスでこの話をしたのは200人以上300人未満だと思います。
何人かの方が「効果がありました」とご報告してくれましたが、皆さん継続できた人たちです。
まずは、お試しあれ。