☆引越しバタバタ顚末記その3☆

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 前回は 合計金額 四拾弐萬4千百八拾六円也 ¥424、186という請求書が送られてきたという話でした。
内訳は和室6畳、和室3畳、洋室4.5畳、台所、トイレ、風呂、ベランダ、天袋etc 占有面積47.56㎡内の全てを塗り替える(もしくは張り替える)
というものでした。
天井、壁、床・・・ベランダの物干し用にぶら下がってる金属製のフックや手すりまで含めて。
ペンキ塗りの単価は㎡あたり1,460円。
この値段はどんなもんなんだろう?

 
しかも、ワープロ打ちされた見積書の部屋番号の一部と日付を修正液で消して、手書きで数字が書き換えられている。
私達が退去する2~3ヵ月前に同じ棟の3階の人が退去したのですが、その見積書を使い回しているのがバレバレ。
この見積書の送り状には、敷金清算についてはオーナーと相談の上、確定金額を再度お送りしますとの文面がつけられていました。

これを受け取った時の私の感想は

ほぉ~そうくるか!

鍵の引渡し時に担当者にオーナーの奥さんとは全く見知らぬ関係では無いので、後にトラブルになるような事は勘弁してくれと釘を刺しておいたのに。
これでは喧嘩を吹っかけられたようなものだな。
という怒りと間抜けな小細工をしてる不動産会社の滑稽さが、ない交ぜになったものでした。

 たぶん、この流れからすると「宅地建物取引主任者」と「行政書士」の資格を持つ身内が言っていた事が予言となり、値下げはしたものの敷金を少し上回る修繕費用を要求してくるだろう。
それから3週間ほどした7月24日付けで来た請求書が以下の通り。
~・~・~・~・~・~・~・~・
工事代金合計 210,156円
消費税     11,673円 (210,156×0.05=10,508だし)
合計     245,149円 (210,156+11,673=221,829だし 
                 足し算も掛け算も間違えて2万円以上多めに請求してくるし・・・)
~・~・~・~・~・~・~・~・
5月25日に退去してからこの請求書が届くまでの間私はいくつかの調べ物をしていました。

 1つ目は旧建設省が提示していた「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」という本。
これを読む事により原状回復の考え方のあらましを知る事ができます
賃貸契約は長期の契約です。
その長期契約期間に賃借人が「故意」「過失」「善管注意義務違反」(善意を持って管理、注意する義務を怠った場合)などにより通常使用を超える損傷については原状回復する義務があるが、そうでない自然損耗、経年劣化の修繕費は既に家賃に含まれている。

 しかも、過失で建物に損傷を与えた場合でも、修繕費用は損傷部分の費用のみに限定される。
(前々回の話で私が大阪の賃貸マンションでカーペットをタバコややかんで焦がしてしまった場合がこれに当てはまりますが、修繕するのはあくまで焦げた部分のみでカーペット全体を張り替える費用全額を負担しなくてもよい、ということです)
その本では過大な原状回復費用を賃借人に負わせるのは無効とする京都地裁の判例なども紹介されていました。

 例えば、ホテルでの1泊を見方を変えて、チェックインからチェックアウトまでの1晩につきホテルの1室を賃借する短期契約と考えてみたらどうでしょう。
私の場合のように転勤に伴って転居先が決まるまでの間1ヵ月単位で滞在する事もあるでしょうし、著名人のようにホテルの1室で何年も生活する場合もあるでしょう。
そうなってくると1年を超える長期契約と考えられます。

 賃貸住宅の契約も同じです。
定められた賃貸契約の期間に使用者は常識的な範囲で(契約書にあるペット不可などの付帯条約を守る)使用している限り、自然に劣化してゆくものに関しては建物の所有者に原状回復の義務があるのは当然の事でしょう。
先程の例で引き合いに出した1年を越えるホテル滞在の人がチェックアウトする時、建物の壁に自然発生する結露による汚れのクリーニング費用をホテル側から請求されたら
普通の人は怒るでしょ?
なぜか賃貸住宅の退去時には家主が本来負担すべき、次の賃借人に綺麗に見せるための復旧費用を、賃借人に負担させるケースが横行しているようです。

 さて、調べ物の2つ目は神奈川県の行政書士が行っている相談会に行って現状について相談した事です。
その行政書士の見解も上に書いた通りの見解でした。

 調べ物の3つ目は(以前記事に書いた事があるのですが、私の性格は慎重で石橋を叩いて叩い
て・・叩きすぎて石橋を壊してしまうまで渡らないぐらいなのです)
セカンドオピニオンを聞くために宅地建物取引主任協会の横浜のとある支部に同じ相談をしたのです。
その方はかなりラジカルな方で
「あんたねぇ、その大家は次の賃借人のために見栄え良くして、次も入ってもらうために、あんたの敷金を流用しようとしてるんだから、さっさと訴えちまえ!」

-築40年目に入居して築43年目に退去して、新築以来何世帯が使用してきたかもわからないような部屋の原状回復に敷金の倍額請求される。
敷金返還をめぐって、こんなにあからさまに、でも、稚拙なやり方で他人の財産(敷金)を奪おうとしているのか?
あまり他ではこんな商売が横行している業界は見たことがない-

 さぁ、これだけ下準備を整えて、あとは不動産会社と交渉するだけです。
先程の「宅地建物取引主任者」と「行政書士」の資格を持つ身内に
「基本的に全て交渉は俺がやるから、法律的に間違いがあったり、契約上間違った理解で話しているようなら、修正するぐらいの役割でついて来てくれない?」
と、お願いしたところ、二つ返事で同行してくれました。
敷金返して、とお願いする交渉の時間は30分ほど。
お互いが声を荒げるシーンもありました。

結果ですか?
敷金20万円全額が即時に、私の口座に振り込まれました。

 あれから、10年ほど。
当時とは違い、インターネットも普及し、こういった原状回復に関するトラブル情報も数多く世間に共有されているだろうと思っていたのですが、まだまだ、家主が本来負担すべき費用を賃借人に負担させちまえ!という不動産屋さんが多々居るようです。

 もしあなたが賃貸住宅にお住まいでこういったトラブルに巻き込まれたくなければ、退去前に私がしたような下準備を十分しておくことをお勧めします。
行動するかしないかで結果は大きく変るかもしれません。

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